2012年8月29日水曜日
刷毛
<筆の話>
日本画には面相筆だけでなく平筆と、もう一つ刷毛(ハケ)を使います。
たくさんの面積を塗るためだけでなく、日本画独特の「ぼかし」に使ったりします。「ぼかし」とは一旦鮮明に描いた線や面の上に、ちゃぷちゃぷに薄くした岩絵具をぶっかけるんです。そーすると、そのやり方次第では山の景色にある霧や朝モヤのようなガスっぽくさを表現することができるんです。これは「描く」のではなく、「かける」という仕事。このテクニックは大変難しく簡単にはできません。思い通りのガスを描くには熟練が必要となります。
もう一つの効果は背面に「おくる」ということ。「おくる」とは手前よりも後ろへということです。ぼかすことで背面側に行くんですよね〜ぼやける事で鮮明な線やよりも背面側に見えるんですね〜目の錯覚ですね!オモロイでしょ〜
これらの仕事は面相筆ではできません。刷毛でしかやれないのです。ちなみにこの刷毛の毛を止めてるいる「糸」は絹糸を何十にもゆった糸で止められております。こちらの糸も職人の仕事によりできております。
日本画は岩絵具です。塩の粒くらい粗い岩絵具もあれば、メリケン粉くらい細かい粒子の岩絵具もあります。同色に15種類もの粒子の粗さがあるんです。そのバリエーションの多い絵具を用途に応じて使い分けるんわけです。その色の発色や溶け方を考えながら塗ります。番組『なんでも鑑定団』に出てくる掛軸や屏風はすべてこの岩絵具とこれらの筆たちで描かれています。