随分前に先生に言われたことを思い出す。
「いつかイイ硯を持ちなさい。きっといい絵が描けるから。」
十数年前、初めて絵が売れた時の話。うれしくて!手元にあったお 金を何か形に残しておきたい。いや!何か買いたい。
その時に思い出したのが、この言葉。
硯は水墨画同様、日本画には欠かせない道具のひとつです。
先生は古い『端渓』を持っておられ、素晴らしかったのを思い出 します。
『端渓硯(たんけいすずり)』とは、中国の広東省にある、ある限 られた河の水が引いた時期にしか採れなかった石を硯にしたもの。 石に模様が入ったものがあり、その種類も様々。石に花が咲いたよ うな模様が入ったものや淡緑色の斑点が入ったものは「眼」(がん )といわれ。鳥の眼のようなこの模様は石漣虫の化石と言われてい る。この眼が大きければ大きいほど、眼を造形的に加工された硯は 価値があるといわれてます。
ボクの端渓にも、ちぃ〜さな「眼」が入ってます。
これでも端渓のはしくれ安い硯とはやっぱり違います。墨が硯に吸 い付くんですよね〜で、滑らか〜〜に墨が溶けていくんです〜きっ と石の目が細かいんでしょうね。井木紫人作品の鳥や金魚の目はこ の硯と青墨を使って描いてます。これがボク流のイイ仕事。墨は時 間をかけて丁寧に擦らないと良い墨となりません。見えないところ にも時間と手間をかける。これ、ポリシーです。
ボクの端渓「眼」は小さすぎてわかりませんが、ボクの中では大 切な宝物なんです。
「いつかイイ硯を持ちなさい。きっといい絵が描けるから。」
十数年前、初めて絵が売れた時の話。うれしくて!手元にあったお
その時に思い出したのが、この言葉。
硯は水墨画同様、日本画には欠かせない道具のひとつです。
先生は古い『端渓』を持っておられ、素晴らしかったのを思い出
『端渓硯(たんけいすずり)』とは、中国の広東省にある、ある限
ボクの端渓にも、ちぃ〜さな「眼」が入ってます。
これでも端渓のはしくれ安い硯とはやっぱり違います。墨が硯に吸
ボクの端渓「眼」は小さすぎてわかりませんが、ボクの中では大