日本画には乾き待ちという工程があります。
1色ぬるたびに乾かす工程です。
そもそも岩絵具というのは、岩、石であり砂であります。色がニジムことはありませんが、膠と水と岩絵具を混ぜ使いますが、濡れている間は砂が動いてしまいます。半日から1日かけて乾かすわけですが、その間は何もできません。ひたすら乾くのを待って、完全に乾いたあとに次の色をぬります。たくさんの色をぬるのでメチャメチャ時間がかかるのであります。ハッキリ言って地味です。
しかし地味であるがゆえに、ユックリ作品と向き合うことができます。乾き待ちにいろいろ考えることができるのです。最初に描いた構図や色を今一度考え直したり、時として変更することもあります。その際にはこの乾き待ちの時間使って試したりします。
日本画は瞬間的なインスピレーションで描く絵ではなく、時間をかけて描く絵であります。作品の多くがユックリとした時間が作品に現れます。それも日本画の良いところでもあると私は思います。